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【レポート】第2回デジタル遺品を考えるシンポジウム

60,70代のインターネット使用率の急増に伴って、「デジタル遺品」という言葉が生まれました。

PCやスマートフォンの中に保存されている、写真や動画、文章、SNSやブログのアカウント、株やインターネット銀行の口座。そして最近話題の仮想通貨などは、所持者が亡くなるとすべてデジタル遺品になります。

もしものことがあれば、デジタル遺品はどうなるのかみなさんご存知でしょうか?

「実はよくわかっていない・・・」という方が多いのではないでしょうか。

そこで、日本のデジタル遺品をとりまく現状を考える、「第2回デジタル遺品シンポジウム【デジタル遺品のガイドラインを作ろう】」(2018年3月3日開催)につむぐメンバーが参加して来ました。その模様を紹介します!

第2回デジタル遺品シンポジウム

1人あたりのデジタルデータ保持量が増える中、デジタル遺品についての相続手続き手順や法律整備が日本はまだ追いついていません。個人としてデジタルデータをどう管理して、亡くなった後のために何をしておけばいいのか。

古田雄介さん、伊勢田篤史さん、熊谷聖司さんが登壇されました。

デジタル遺品の現状について

登壇者:古田雄介(ライター、デジタル遺品研究会ルクシー代表)
デジタル遺品の解決をサポートされている古田さんは、実際のデジタル遺品についての相談を受けている経験をもとに現状の課題を示されていました。

「技術面 パスワード問題
法律面 不正アクセス禁止法、個人情報保護法、一身専属継承可能な契約
業界面 総合サポートの空白

このように各方面で課題があります。需要の増大はまだ先。低コストなサポート環境づくりが大切です。」

デジタル遺品にまつわるトラブルが増えているにも関わらず、その対策や法的な整備、個人をサポートする民間サービスが十分でない状況なのでまだまだデジタル遺品を取り囲む状況は過渡期なようです。

デジタル終活と日本の法律

登壇:伊勢田篤史(日本デジタル終活協会 代表理事/デジタル終活弁護士 公認会計士)

弁護士の立場からデジタル終活を推進されている伊勢田さんは

「アメリカでは法整備が進んでいて、2014年7月にデジタル遺品の相続に関する法的な基準が設けられ、デラウェア州はじめ46州が制定(2017年時点)。

一方、デジタル遺品相続法は日本にはないので、現状の民法に則って解釈、判断していくしかない。

デジタル遺品にまつわる相談を受ける中で、遺族に故人のデジタル遺品にアクセスしたくてもインターネットサービス提供会社の利用規約が一身専属(故人だけに与えられた権利や資格にあたるので相続人に継承できない)になっているので遺族は泣き寝入りするケースが増えている。」

デジタル遺品になりうるデジタル情報を持っている場合はアカウント情報の記録を残す必要性を強調されていました。

また、最近話題の仮想通貨についても

「今後、仮想通貨と相続税の関係性はどうなっていくのか。被相続人が亡くなった後のビットコインが1億円だった場合を例として考えると相続税が課税されると5000万の課税になる。

ビットコインだけで資産がある場合、法定通貨をもってる可能性は低い。親族が5000万円払えるかというと難しい可能性が高い。

そうなるとビットコインの法定通貨換金がありえるがアクセスできないとそれも難しくなるので最悪、一家離散になり得る。」

他社や親族に知られたくない口座や情報を保存しがちなデジタル情報。亡くなった後のことを考えて、自分の持っているデジタル遺品を遺族が確認できる準備が必要になってきていますね。

現場からみらデジタル遺品の課題

登壇:熊谷聖司 (デジタルソリューション株式会社)

デジタルデータの復旧やハッキング調査などデータトラブルをサポートする会社であるデジタルソリューション社より熊谷聖司さんが実際に起こっているトラブルや今後の課題をお話くださいました。

「海外電子口座をもっている場合、亡くなったら親族は知りようがない。仮想通貨の口座も同様に。

ただ、遺族による依頼の内訳をみると故人の死亡年齢10-40代が70%以上と若年層が多い。
50代~が30%未満。

なので課題は、口座や情報の重要度が高い傾向にある年配者に対して「デジタル遺品サービス」を伝えていく必要がある。」

たしかに、デジタル遺品にまつわる諸問題で深刻になりがちなのは資産を持つ年配者というのは想像に難くないですが、まだまだ認知度が低いので諦めている親族のほうが多いことが推測できます。

パネルディスカッション「デジタル遺品のガイドラインをつくろう」

最後は、登壇された3人の講師と参加者で意見交換。

デジタル遺品の未来や、デジタル遺品のサポートが広がるには?などガイドラインを設けるとしたら何が足りないのか?方法は?など1つ1つのテーマについてさまざまなアイデアが飛び出していました。

「デジタル遺品がある。」という認識を持っている人も少ない状況の中で、もしものことがあった際に、大切な人の情報や資産を取り戻せず諦めている人が多い状況という声もあり、「デジタル遺品をどう扱っていくのか」は、これからより大きな問題になってくるかもしれません。

終活信託を通して安心して最期を迎えたいという方のトータルサポートを目指している私達「つむぐ」としてもデジタル遺品によって辛い経験をされるご家族を減らしていく一助になっていけるよう取り組んでいきます。